民間企業から公務員への転職を目指している方の中には、「公務員になるにはどうすればいいだろう」「民間で大きな実績や華やかな経歴はないけど大丈夫かな」と考えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、実際に公務員に転職された方の前職や入庁後のお仕事状況などを私の経験から記事にします。
公務員になるための具体的な方法や試験の種類などは、大手転職サイトなどに詳しく掲載されていますので、そちらを参考にしていただき、こちらでは割愛させていただきます。
民間企業からの転職をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
民間企業から公務員への転職事情
安定やワークライフバランスを求めて、転職の人気上位にある公務員。公務員になるためには公務員試験、面接を突破するのが必要となります。
これは公務員に限ったことではありませんが、中堅職員(社員)の人材不足がとても深刻になっています。経験豊富なベテラン層と新卒職員などの若手層との間で組織の中心となり現場で活躍する年代がいないということになります。
このことから、自治体でも社会人経験者枠を設けて職員のバランスを取ろうとする動きがあります。
また、民間の風を取り入れたいということで積極的な採用をする自治体が増えています。(「社会人経験者枠」や「氷河期世代枠」など呼び方は様々あります。)
公務員になりたい人と、民間(社会人)経験者を採用したい行政側で需要と供給がマッチしており、社会人になってから公務員になりたい方にとってはありがたいことですね。
ただし、当然その分倍率も高くなり、若干名の採用枠に100名以上の応募があるということもザラにありますので狭き門であることを覚悟の上転職活動に臨むことをオススメします。
民間企業出身者の前職は?
では、実際に民間企業から公務員へ転職された方は、公務員になる前にどんな経歴を歩んでいる方がいるのでしょうか。実際に私の周りにいた方や見聞きしたケースをご紹介します。
金融機関、郵便局
最も多かったのが金融機関や郵便局から転職された方です。
どちらも公務員と似て安定している業種と思われますが大きく異なるのが”ノルマ”が課されていること。
郵便局などはノルマ達成のためにお歳暮や年賀状などの売り上げを達成するために身銭を切っていた(いわゆる自爆営業)ことが一時期ニュースにもなりました。こういった側面からノルマのない公務員への転職をされる方が多いようです。
団体職員
こちらは農協や漁協やNPO法人などから転職されるケースです。
こちらはさほど大きなノルマはない(業種によっては存在するかもしれません。)ですが、待遇面などの不満から、転職先の候補として雰囲気が似通っている公務員を選択する方が多くいます。
製造業
これは地方に多いケースです。地方では工場などの製造業で働く方が多くいます。
地元に残って働いている方が多いため、転職後も地元勤務を希望する場合に市町村の役所が選ばれやすい傾向にあります。
IT企業
意外にも多かったのがIT企業からの転職です。
エンジニアや営業など職種は様々ですが、ベンチャー企業が多い中でその社風などが合わずに安定志向にシフトし、公務員を目指す方も多いようです。
(番外編)公務員→公務員
こちらは番外編で公務員から公務員への転職です。
町村役場から市役所、警察官や自衛隊、教師から自治体など様々なケースがあります。元の職場に不満がある場合や地元へのUターンでの転職などが理由として挙げられますが、自治体間の転職も最近では多いようです。
もちろん、上記で紹介した職業は一部で、このほか様々な前職をお持ちの方がたくさんいます。
民間企業への転職は即戦力を求めて経験や一定のスキルがないと応募さえできないこともありますが、公務員は民間企業への転職と比較しても、どの職種・業界からでも転職できる可能性があリます。
ただし、上述した通り高い倍率の試験を突破する必要があるため覚悟が必要です。
民間での経験は生かせる?
スペシャリストよりジェネラリスト
公務員への転職で民間での経験を生かすことはできるのでしょうか。
特に役所ではジェネラリストを育てるために(癒着の防止などの理由もあります)数年おきに部署異動があります。
このジョブローテーションにより様々な分野を経験することになります。昨年まで税務部門にいたかと思うと、4月から土木部門に異動になったり・・・。(このジョブローテーションについてはまた別記事で書かせていただくこととします。)
このため、前職で特定の分野でスキルを磨いていても、一般行政職で入庁している以上はこの部署異動は避けられません。
例えば、前職がIT企業でシステムの保守管理を得意としていても、自治体の情報システム部門などに配属されるとは限りません。極端に言うと、道路を作っているかもしれませんし、認知症予防の推進を行なっているかもしれません。
このようにこれまでの経験とスキルとは全く関係のない業務をする可能性も十分にあります。ただし、専門職や特定の必要とされる人材・スキルがマッチすれば、そういったポジションにつける可能性はあります。
ただし、民間で培ってきた営業でのお客様対応やコストへ意識、スピード感など業務の基礎となる部分については、公務員だけでは得ることのできない部分ですので十分に生かせるはずです。
まとめ
人々のライフスタイルや働き方が多種多様な現代において、行政側のサービスも多様化しています。質の高い行政サービスを提供するためには公務員だけの経験では不足する部分が絶対的にあると筆者は感じています。
サービス向上のためにも民間企業で様々な経験をされた方の力がこれからの行政運営には確実に必要になってきます。
これから公務員を志望される社会人の方は、ぜひその経験に自信を持ってより良い行政サービスの提供に貢献してください!