そんな風に考えて、民間から公務員への転職を考えている方も多いはずです。というかほとんどの方がそうだと思います。ごく自然な考え方だと思います。
ですが、元公務員として言わせていただきたいことは、ただ1つ。
「ほんとに公務員になりますか?」
ということです。
当ブログでは、元地方公務員として10年間勤務した後に民間企業へ転職した経験から、そういった方へ向けて、よーく考えて転職してほしいという思いも込めて公務員の転職や仕事のあれこれについて記事にして考えています。
これから公務員への転職を考えている方はぜひ参考の一つにしていただけたら幸いです。
本当に公務員になりますか?
もし、私が友人や知り合いから、「公務員に転職したい」という相談をされたらこう返します。
「ほんとに公務員になりたいの?」
もちろん、国のため、地域のために働きたい!と志を持って志望される方もいるでしょう。
ただ、以下のような理由だけで公務員に転職したいと考えている方はいませんか?
【公務員に転職したい理由】
・安定している
・仕事が楽
・ノルマ、残業がない
・給料が高水準
このようなことを理由に民間から公務員への転職を考えているのなら、少し安易かもしれません。
一度立ち止まってゆっくり考える時間を作ってみることもオススメします。
公務員の鎧って想像以上に重いですよ・・・。
公務員の大変なこと
「でも、公務員なんて民間から比べたらゼッタイ楽でしょ!」
「安定は間違いないでしょ」
と思う方も多いと思います。
では、公務員として生きていく中で、私が大変だと感じたこと、苦労したことをご紹介します。
365日24時間公務員
私が新卒で採用になった当時、合同の新人研修があり、そこで講師の方からこう言われました。
「皆さんは、これから公務員という鎧を着て生きていくことになります。」
当時はこの言葉の意味をあまり深く考えていませんでしたが、年数を重ねるうちにその言葉の意味を理解するようになりました。
公務員は「土日祝休みの定時上がり」なんて言われますが、地震や台風などの災害が起これば、いつ何時でも召集がかかります。
台風情報がニュースから流れるたびにヒヤヒヤしていました。
また、公務員ということで、当然のことながら、仕事もプライベートも世の中のルールから逸脱してはいけないというプレッシャーもありました。
それに加えて、休日、子供の行事、地域行事などなど様々な場面で「公務員」ということを理由に面倒を押し付けられたり、批判の矛先になったりと心が休まる日がありませんでした。
サービス残業が横行
公務員という安定感から、残業代も満額支給なんだろうと思われがちですが、そうではないのが現実です。
行政には予算が必ずあり、何にいくら使えるかが決まっています。残業代も概ね部署ごとに決まっており、それを超えてしまうと、残業代を払う予算が無くなってしまうので、必然的にサービス残業となってしまうのです。
やったらやった分貰えるというのは、誤ったイメージなんです。
理不尽なクレームや批判
公務員といえば・・・
税金から高い給料をもらっている
それでいて仕事しない
ノルマなしのぬくぬく仕事している
というイメージから、妬み嫉みの対象にとてもなりやすいです。
また、住民へ強く対抗できないという立場上、クレーマーからの標的となりやすく、明らかに言いがかりというようなものや、全くの見当違いのクレームもたくさんあります。
民間であれば、明らかにお門違いのような自社に不利益なクレーマーに対しては強い態度で出れますが、公務員という立場上丁寧に対応しなければいけないというストレスがあります。
定期的にあるジョブローテーション
人事計画や個人の能力開発を目的に定期的に行われる人事異動。
ある程度の規模の企業ならあるかと思いますが、公務員特に役所で勤める一般職員は必ず経験します。
組織的には様々なメリットがある一方、一職員にとっては、専門スキルが身につかない、やりがいの低下など多くの負担やデメリットがあります。
特に公務員以外へ転職をしようとする際にはマイナスな要素とも言えます。
ただし、意識を変えてこの制度をうまく使うことで、自分の強みにすることもできます。
古い役所体質、煩雑な事務処理
役所を利用する人にとって、「お役所仕事」は嫌なものですよね。
ただ、この「お役所仕事」はそこで働く者にとっても非常に煩わしいストレスのかかるものです。特に若手や民間から公務員へ転職をした人にとっては驚くような慣習やルールがたくさんあります。
例えば・・・
鉛筆一本買うのにも決裁が必要です。
予算がなければ何もできません。
何人もの形だけのハンコを貰うために時間を費やします。
税金、公金を扱っている以上、厳正な仕組みは当然必要ですが、その仕組み事態が形骸化していて、意味や本質を理解せずに行っている職員も多いのではないでしょうか。新人ならまだしも、上司となるはずのベテラン世代ですら、「ただ、なんとなく」やっているケースも珍しくありません。
新卒で公務員の私がそう感じるのですから、民間から公務員に転職すれば、その煩雑さに苦労する方も多いようです。
成果が全く反映されない公務員の給与体系
公務員といえば、「安定」「高給取り」というイメージがあり、それを理由に公務員を志望される方も多いと思います。
しかし、イメージとは違い予想外の低水準に驚く声もあります。
私の公務員時代の給与はこちらにて公開しておりますのでぜひご参考ください。
また、やってもやらなくても変わらない年功序列の給与体系であり、成果を給与に反映させる人事評価制度は必須となっていながらも機能している自治体が全国にどれほどあるか疑問です。
このような状況からモチベーションを保てず、せっかく民間で培ったスキルや経験を活かしきれずに終わってしまいます。
さいごに
公務員になりたい理由を明確に
上述のように安定で楽と言われる公務員でも苦労はたくさんあります。もちろん大変なのは公務員だけでなく民間もそれ以上の苦労があると思います。
そういった苦労を解消するために公務員への転職を考える方も多いと思います。
なぜ自分は公務員になりたいかを明確にして、転職の軸をぶらさないことが転職後も後悔しないための方法です。